クリティカル・マス(Critical Mass)

集団の中でたとえ大多数でなくても、存在を無視できないグループになるための分岐点があり、それを超えたグループをクリティカル・マスと呼ぶ。例えば、政治分野では女性が議員になっても、その割合が極端に少ないことで、象徴的な存在に留まってしまう現状がある。これでは、女性の立場を生かした立法や政策を実行したくてもできず、結局、成果を残せないという状況になってしまう。こうした状況から抜け出すには、クリティカル・マスに基づき、女性の数を増やし影響力をもてるグループになることが必要である。ほかの分野でも意思決定の場に女性を増やすためのポジティブ・アクション「202030」などが行われている。しかし、このような目標値の設定や法律の制定などの介入は不平等であり、自然の成り行きのままにするほうがよいという声もある。まずはクリティカル・マスの考え方をベースに、どのグループも主体的に参加できるよう数の不均衡をなくすことが急務だといえる。(2019.7)

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  • 解説文末( )内は、月刊『We learn』掲載年月です(情報はその時点のものです)。また、HP用に新たに取り上げた用語は「追加」としました。

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