理事長あいさつ

本財団の歴史は、1941年に設立された財団法人日本女子会館に始まります。当時、地方から上京して泊まりがけで勉強したいという女性に宿を貸してくれるところはなく、そうした女性たちの学びを支えるために、日本女子会館は宿泊も可能な研修施設として誕生しました。以来80年あまり、財団は時代とともに役割を変えながら、いまに至るまで女性の「生涯学習の支援」を大きなミッションとして掲げています。

月刊誌『We learn』もまた、創刊から70年以上の歴史を刻んできました。現代の社会課題をジェンダー視点で切り取り、全国の男女共同参画センターや自治体、研究者の方などにお届けしています。また全国に約100人の「キャリア支援デザイナー」をつないでおり、デザイナーの学びを支援し、連携して事業を行うことで、生涯学習、次世代育成の輪を広げています。さらには志を同じくする団体、教育機関、自治体、企業などとの連携も深めています。

家庭、地域、職場、社会など、あらゆる分野でいまなおジェンダーギャップが残るなか、固定的な性別役割分業から脱却することが大きな課題となっています。財団ではジェンダー格差を生む社会構造に目を向け、意識改革や社会の変革に向けて取り組みを続けてまいります。ジェンダーギャップ解消に向けての教育の推進、ツールやプログラムの開発にも力を入れていきます。すべての人が個の力を生かせる生き方、働き方ができる多様性尊重社会、そしてジェンダー平等な社会が、我々の目指す姿です。

私自身は、編集者・記者として30年以上にわたり、女性の仕事とライフスタイル、組織のダイバーシティ推進をテーマに、取材・執筆・調査研究を行ってまいりました。日本のジェンダー平等への歩みは、ゆっくり前に進んでいると感じるものの、いまだ課題は大きく、海外先進国を見回すと大きな後れをとっています。これまでの経験を活かしながら、当財団でジェンダー平等社会の実現に力を尽くしてまいります。

学ぶ、つながる、社会を変える――。この言葉を胸に、みなさまと連携しながら前に進んでいきたいと思います。

                               2025年9月

公益財団法人 日本女性学習財団
理事長 野村 浩子