裁量労働制

裁量労働制とは、労働時間の配分を労働者本人の裁量に任せる制度である。実働時間に関係なく給与が支払われ、働いた時間でなく仕事の成果を重視する仕組みである。1987年労働基準法改正で認められた「専門業務型裁量労働制」に加え、1998年改正で「企画業務型裁量労働制」が認められ、適用範囲が拡大された。主な職種は、研究開発、情報処理システム設計、取材編集、デザイナー、公認会計士・弁護士・弁理士、経営企画、営業企画、人事・労務、ゲームソフト、プロデューサー・ディレクター、金融商品開発、一級・二級建築士など。98年改正で本社の企画・立案・調査・分析などにも対象が拡大され、実質的には一般企業のすべてのホワイトカラーにも適用できることになった。施行は2000年4月から。制度導入には、7つの事項(①対象業務 ②対象労働者 ③みなし労働時間 ④労働時間の状況に応じた対象労働者の健康・福祉確保のための措置 ⑤対象労働者からの苦情処理に関する措置 ⑥労働者の同意の取得および不同意者の不利益取り扱い禁止 ⑦命令で定める事項)について、事業所内に設置する労使委員会の全員一致で決議し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。1999年4月施行の女子保護規定廃止を含め、今女性たちは労働条件をめぐる大きな変化の影響下にいる。多様な働き方が広がる一方、長時間労働への懸念もある。男女共に家庭責任を担い、仕事と家庭生活を調和させる土壌づくりなしには、ますます働く女性の状況は厳しいものになるだろう。(1999.3)


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