セイフ ティーン(safe teen)
セイフ ティーン(safe teen)とは、カナダの「十代の若者に向けた暴力未然防止プログラム」のこと。創始者は、アニタ・ロバーツ(1997年にYWCA「傑出した女性」賞を教育・訓練・開発分野で受賞。著書に『ラスト・チャンス・カフェ』)。1976年から活動を始め、20余年にわたりカナダの中高校で実践してきた。若者による暴力の被害者は同じ若者であることが多く、被害者は加害者と顔見知りや友人であることが少なくない。この若者のカップル間で起こるデートレイプを防止するために、教育関係者や性暴力被害者を支援する人たちがセイフ ティーンの効果的な学習方法・内容について関心を示すようになり、注目されている。このプログラムはワークショップ形式で、ファシリテーターが高校などに出向いて行う。女子生徒には女性の、男子には男性のファシリテーターがそれぞれジェンダー・ロールモデルを果たしながら指導する。怒りでも恐れでもない“断固たる態度”で暴力に立ち向かうことをロールプレイや対話を交えながら示していく。十代の子どもたちは日常、さまざまな暴力に晒され、その都度どう対処してよいのかわからなくなりがちで、次のようなアサーティブな態度を実践する。①一呼吸して自分の中にある“弱い感情”や“怒りの感情”からいったん離れ理性的な気持を呼び起こす ②表情は顔をまっすぐ相手に向け、視線をそらさない ③態度では、足を踏ん張って立ち、片方の手を上げて「ストップ」(止めて)と言う ④声の調子は冷静さを保ちながら断固とした調子で話す など。好戦的な態度や未熟な子どもっぽさは危機回避に役立たないと教え、子どもが賢明な行動の選択肢を知って相手にコントロールされない方法を体得する学習方法である。(2005.2)