ジェンダー・トラック
進路選択の機会や進学先の範囲が性別役割に基づき制約される構造のことを呼ぶ。<トラック>とは、線路や競技場のトラックのことで、 親、教師など、子どもの進路選択にかかわる人たちが、子ども本人の意思にかかわらず将来のレールを敷いてしまう状態をさす。英語では「ジェンダートラッキング(Gender tracking)」と使われる。具体的には、女子が理系の進路選択を希望しても「勉強内容が難し過ぎる」「重労働の仕事が多く、女性に向いていない」「就職をしても結婚出産が難しい」など、保護者や親族からの良かれと思うアドバイスや、学校での進路指導が意欲をそぎ、その結果、進学先の範囲が狭まることなどがあげられる。このようにジェンダー・トラックには、周囲のアンコンシャス・バイアスが影響していることがわかる。学校教育の中では、性別で男女を二分化している規則、慣行や教員の言葉や態度などを通して影響を与える隠れたカリキュラムの存在にも留意する必要がある。(2025.2)