防災協力イニシアティブ

阪神・淡路大震災から10年を経た2005年、神戸で国連防災世界会議(政府代表や国連機関、NGOら168カ国、約4000人参加)が開催され(1月18日から5日間)、日本政府の包括的な援助方針「防災協力イニシアティブ」が発表された。スマトラ沖大地震・インド洋津波被害が深刻化する中、「防災大国」日本の貢献に期待を寄せる国際社会に応えたと言える。基本的考え方は──自然災害は人的損失、財産上の損害はもとより、広く社会経済の混乱を引き起こす地球的規模の問題であり、特に開発途上国の防災の脆弱性は貧困削減、持続可能な開発を疎外する。日本は被災国の自助を尊重し、これを支援するパートナーシップを重視する。また、災害にはグローバルな視点や国レベルの視点とともに、個々人の「人間の安全保障」やジェンダーの視点を踏まえて対処する──となっている。特にジェンダーの視点から、政策決定への参画、経済社会活動への参加、情報へのアクセスなどさまざまな面で男女格差があるために女性が災害時に被害を受けやすいとした点は注目される。基本方針は、①防災への優先度の向上 ②人間の安全保障の視点 ③ジェンダーの視点 ④ソフト面での支援の重要性 ⑤我が国の経験、知識及び技術の活用 ⑥現地適合技術の活用・普及 ⑦様々な関係者との連携促進。 日本はODAを通じて、開発途上国の自助努力を尊重しながら、災害の各段階に応じた支援(①災害予防の開発政策への統合 ②災害直後の迅速で的確な支援 ③復興から持続可能な開発に向けた協力)を行うこととしている。 男女共同参画基本計画においても、新たな取組として、同イニシアティブに基づいた国際的な防災協力が挙げられている。(2005.10)

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