フェミニスト・ペダゴジー

フェミニズムを教えるプロセスへの関心から生まれた教育理念・方法で、「フェミニズム教育学」とも言う。1960年代、女性解放運動の広まりから、まずアメリカで学問としての女性学が誕生し、大学で教えられ始めた。その中で、教える内容は女性の解放をめざすものであるにもかかわらず、方法は「教え-教えられる」権力関係の中で語られるという問題が指摘され、フェミニズムの内容にふさわしい教育方法を探る必要性が指摘されるようになった。めざすところは、個々の女性が性差別的な偏見に屈することなく、自己達成のために必要な知識、能力、自信を身につけることである。同時に、エンパワーした女性が学んだ知識や経験を生かし、平等な社会を築くための活動に参画し社会変革をめざしていくこととされる。大切にされる理念・方法には、次の3点がある。①個人の経験や感情を重視し、学習の中に取り入れていくこと ②学習者・支援者が互いの声や経験の語りから学び合うために参加型学習を重視すること ③自分自身の考えや経験、社会を批判的・分析的にとらえる思考力を養成すること ジョン・デューイ(米)の経験主義やパウロ・フレイレ(米)の被抑圧者のための教育学からも影響を受けた。この教育理念・方法は女性だけでなく、あらゆる年齢層の人々の教育・学習の場面に活用されるようになってきている。 参考:『学習支援ハンドブック-協働の時代の学びと実践』(財)日本女性学習財団 2006年3月,59頁(2007.7)

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