人身取引対策行動計画

人身取引(トラフィッキング)は重大な人権侵害であり、特に女性と児童に対して深刻な精神的・肉体的苦痛をもたらす。政府は国際的組織犯罪である人身取引の防止・撲滅と被害者の保護に向け、早急かつ着実に推進し、総合的・包括的対策を講ずるために「人身取引対策行動計画」を策定した(2004年12月7日)。同行動計画はⅠ.対策の重要性 Ⅱ.実態把握の徹底 Ⅲ.総合的・包括的な対策 から成る。Ⅰでは、被害者を保護の対象として明確に位置づけ、加害者処罰について刑罰法令等の整備と取締りの強化を図る。Ⅱでは、被害者とブローカー、それぞれの実態把握を徹底すること、Ⅲでは次の①~⑤の対策を掲げている。①人身取引議定書の締結(2005年6月8日国会承認 ) ②人身取引防止のための諸政策の推進(出入国管理の強化、旅行関係文書のセキュリティ確保、「興行」の在留資格・査証の見直し、偽装結婚対策、不法就労防止の取組、売買春防止対策の取組) ③人身取引撲滅のための諸対策の推進(刑事法制の整備、取締りの徹底、旅行文書等に関する情報交換の推進、諸外国の捜査機関等との連携強化及び情報交換の推進) ④被害者の保護(被害者の認知、シェルターの提供、カウンセリング・相談活動の実施、交番等に駆け込んだ被害者の保護、被害者の在留資格の取り扱い、被害者の安全確保、被害者の帰国支援) ⑤人身取引対策推進に際しての留意事項(内外の関係機関等との連携、社会啓発・広報の実施、関係職員に対する研修・訓練、行動計画の検証・見直し)。行動計画の進捗状況は、内閣府に設置した関係省庁連絡会議(警察庁・外務省・法務省・厚生労働省)で報告される。(2006.6)

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