女性アーカイブ

女性に関する歴史的事実や活動の記録史料、またはそのための機関。一般に、<①将来にわたって保存する歴史的文化的価値がある記録史料 ②その保存・利用のための施設や組織 ③記録史料の収集・整理・保存・公開>を指す。アーカイブ資料は、図書や文書などの文献資料のほかに、画像・映像資料、聞き取りなどの口承資料、生活用具や活動のビラなどの現物資料が含まれる。日本では女性の記録史料を系統的に収集・公開するシステムが未整備で、散逸が危惧されている。
 記録は権力と大きなかかわりがあり、マイノリティや反体制的な運動の記録は残りにくく、女性の記録も破棄されたり、引き取り手がないために散逸しやすい。かろうじて保管された資料も、各地の図書館、女子大学、女性団体や研究会などが個別に所蔵しており、整理・公開が進んでいないのが現状である。中でも女性史やジェンダー研究者によって発掘された聞き取りテープや地域資料の整理保存は緊急の課題となっている(2005年(独)国立女性教育会館調査)。
 従来軽視されてきた女性の歴史・活動を明らかにする女性アーカイブは、歴史的事実を検証し、市民の知る権利を保障する資料としてきわめて高い公共性がある。2008年に(独)国立女性教育会館はわが国初の女性アーカイブセンターを開設し、地域に眠る女性アーカイブのネットワーク構築に向けて支援を開始している。(2010.7)

月刊『We learn』2017年10月号<学びのスイッチ>には、山崎裕子さん(国立女性教育会館情報課情報係長(併)専門職員)の解説を掲載しています。
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