アドボケイト(advocate)

権利表明が困難な子ども、寝たきりの高齢者、障害者など、本来個々人がもつ権利をさまざまな理由で行使できない状況にある人に代わり、その権利を代弁・擁護し、権利実現を支援する機能をアドボカシー(advocacy)、代弁・擁護者をアドボケイト(advocate)と呼ぶ。「弁護・支持・唱導・主張」し、「権利擁護のためにたたかうこと」であり、“to call”(声をあげる)を意味するラテン語“voco”に由来する。積極的に発言するだけではなく、問題に対する社会的改革を求めるロビーイング活動(政策関与・提言・形成)も含む。
 N.ベイトマン(社会福祉の研究者(英))は、具体的に実践するときの原則を以下の6項目あげている。①常にクライエント(相談者)の最善の利益にむけて行動する ②クライエントの自己決定を徹底的に尊重する ③クライエントに対して逐一正確な情報を提供する ④努力と有能さでクライエントの指示を実行する ⑤クライエントに対して、率直で主体的な助言を行う ⑥クライエントの秘密を厳守する
 本人の自己決定を尊重し、さまざまな問題を「人権問題」として考え、人権回復の援助をする意味が含まれている。DVや性暴力の被害者を支援する相談員やシェルタースタッフにも、被害者女性の立場に立った権利擁護など、自己決定を尊重しながら被害者をサポートすると同時に、女性に対する暴力を人権問題として受けとめ、社会に働きかけるアドボケイトの役割が求められる。(2007.10)

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