アンペイド・ワーク

アンペイド・ワークは、無報酬労働、無償労働、不払い労働などと訳されており、いわゆる“ただ働き”の労働を意味する。領域的には育児・介護・家事等の家事労働、ボランティア、農作業・自営業等の家族労働に多く見られ、市場経済の外で行われる人間の生命維持・再生産にかかわる自給自足性の強いもの。その多くが女性によって担われていることから男女間のさまざまな不平等を引き起こしている。開発途上国では男性より女性の労働従事時間が多いにもかかわらず、アンペイド・ワークであるため、女性の貧困化が深刻な問題となっている。また、先進国の間では、家事労働が女性の社会進出を阻む要因となる一方、賃労働に従事する女性の「家事も仕事も」の二重負担の問題が浮上している。アンペイド・ワークを社会的・経済的に評価するシステムの開発と、性別役割分業を超えた男女間及び社会の中での公平な分担が大きな課題となっている。第4回世界女性会議「行動綱領」でも、女性の貧困と絡んでアンペイド・ワークに言及し、国民経済への寄与の明示と、女性の無報酬労働と貧困の関係を調べる統計的手段の考案を示唆している。(1995.12)


月刊『We learn』に1992年5月号から連載している「きょうのキーワード」を掲載しています。
より多くの方々にご活用いただけることを期待しています。

  • 解説文末( )内は、月刊『We learn』掲載年月です(情報はその時点のものです)。また、HP用に新たに取り上げた用語は「追加」としました。

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