ブラザーペナルティ
ブラザーペナルティとは、家庭内で兄・弟より姉・妹に制約がかかることをさす。経済的なかたよりがあることが研究されていて、“The Brother Earnings Penalty”(Angela Cools, Eleonora Patacchini,2019)では、弟がいる長女の「収入の低さ」、「親からの進学の期待度のうすさ」などを明らかにしている。日本でも、姉・妹は親元から通える範囲の進学先や就職先を望まれたり、塾・習い事にかける金額が少ないなどの声が聞かれる。また、家庭内のケア役割を期待されることも多く、家事や看護、介護など、兄・弟より負担が大きい状況もある。出生順や家族構成、ジェンダー観、地域性などさまざまな要因があるが、性別や環境で機会に格差が生じることや、個々に感じる不公平感は、子どもの生き方に影響を与える。親世代が公平な機会に関して自覚的になることや、子育て、介護、看護など家族を支援する際にも、きょうだい間での差に留意することが必要である。(2025.1)
参考:Angela Cools, Eleonora Patacchini(2019)The brother earnings penalty,Labour Economics,Vol.58