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ILO第190号条約(仕事の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約)

ILO(国際労働機関)の2019年総会で採択された国際条約。採択の背景には性的被害を告発する「#MeToo運動」が起こり、あらゆる暴力を許さないという世界的な世論があった。条約では暴力とハラスメントを「身体的、心理的、性的、経済的被害を引き起こしかねない」と定義し、法的に禁止することとしている。保護の対象は契約上の地位にかかわらず「働く人」とし、正規雇用者だけでなく、インターンやボランティア、就職活動中の人なども含まれる。採決の投票権は、政府2票、労働者側1票、経営者側1票が割り当てられ、日本は、政府と労働者側(連合)が賛成票を投じ、経営者側(経団連)は反対に回った。2019年5月に成立した改正労働施策総合推進法では、パワーハラスメントの防止策を取ることを雇用主に義務付けているが、禁止や罰則は規定されていない。今後は条約批准に見合った法整備の必要性とともに、ハラスメントを見過ごさないという意識や世論も重要である。(2019.10)

参考:ILO「C190 - Violence and Harassment Convention, 2019 (No. 190)」
厚生労働省「ILOの「仕事の世界における暴力及びハラスメント」に関する条約・勧告(第190号条約/第206号勧告)について」

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