キーワード・用語解説

女性学(women’s studies)

女性の視点から社会の諸事象を解釈し直す学問。1960年代のアメリカで、女性解放運動と大学改革運動が結びついて生まれた新しい学問領域が「women's studies」である。1970年代に「女性学」の訳語で日本に紹介され、国内初の女性学講座が井上輝子氏により和光大学で開設された。女性学は従来の学問が研究対象も担い手も男性に偏った男性中心主義であることを批判し、女性の視点や経験を入れた学問の再構築を求めた。また、社会的につくられた性差を「ジェンダー」という概念でとらえ、女性を抑圧する社会構造を解明し、性差別解消運動の理論的支柱となった。1975 年の「国連婦人年」を契機に、女性学は先進国のみならず途上国にも普及していく。一方で女性をひとくくりに論ずるやり方に、有色女性や旧植民地女性等から疑問の声があがる。人種、国籍、階級、障害、性的指向等が複雑に絡み合う抑圧構造を解きほぐし、一様ではない女性の経験を問い直す試みが進んでいる。(2018.3)

  • アルファベット検索
  • フリーワード検索
ENGLISH サイトマップ キーワード・用語解説