フィスチュラ(fistula)
アフリカ・南アジア・中東などの発展途上国で多くみられる、女性の健康と尊厳にかかわる国際的な課題の1つ。長時間にわたる困難な分娩により、胎児の頭部が骨盤を圧迫し体内の組織が壊死して、膣と膀胱の間、膣と直腸の間、またはその両方に生じる穴のことをいう。背景として適切な産科医療を受けられないこと、早婚が慣習となっており未熟な身体に負担がかかる若年出産が多いことがあげられる。世界保健機関(WHO)によると、全世界で約200万人の患者がいると言われているが、正確な数はわからず、増加の一途をたどる。
慢性的な尿・便失禁の症状が生じるため、皮膚感染や腎臓疾患をまねき、治療しないと死に至ることもある。また夫や家族、地域社会から見捨てられ精神的苦痛を受けたり、孤立して経済的な困窮に苦しむケースも少なくない。
フィスチュラは、予防・治療が可能な症状であり、手術により9割前後の確率で治すことができる。しかし、患者に非識字者が多く、その情報は伝わりにくい。また知っていたとしても遠隔地に住んでいるため医療ケアを受けられる場所まで行くことができない、家族からの承諾が得られないなど治療を受けることが難しい。
この状況を受け、国連人口基金(UNFPA)の「フィスチュラ撲滅グローバルキャンペーン」や、世界産婦人科連盟(FIGO)の「フィスチュラ イニシアチブ」など、さまざまな機関が協力し予防・治療に取り組んでいる。(2012.10)
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