社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)
国民一人ひとりを社会の構成員として取り込むこと。
1980年代、雇用や地域的つながりから脱落する「社会的排除」が先進諸国で新たな社会問題となった。対応する理念として「社会的包摂」が普及し、社会から孤立した人々がもう1度社会参加できるよう、制度や環境を整える取組が各国で展開された。
国内では「派遣切り」が大きく報道された2008年以降、ようやく「社会的排除」に対応した取組が本格化し、2011年1月「社会的包摂戦略(仮称)」策定に向けて「『一人ひとりを包摂する社会』特命チーム」が政府内に設置された。その後東日本大震災が発生。被災地をはじめ全国的に困難に陥るリスクが高まることを考慮して、今後の方針や提言がまとめられた。
その中で注目されたのは、失業、住居喪失、健康不安、生活苦等の困難が、個人に連鎖的に起こり、累積していく点である。被災地ではこれらの問題が一時に凝縮して現れ、復興住宅入居後の孤立も懸念される。そのため、子ども・高齢者等の対象別、制度別といった縦割りを克服し、領域を横断した包括的・予防的支援が必要となる。また当事者が自ら声をあげることができないケースでは、支援側から働きかけるアウトリーチの手法が重要となる。問題解決を迅速化するため窓口を集約したワンストップ型の体制整備も求められる。
「社会的包摂」の推進は、誰もが潜在能力を発揮でき、出番をもってつながりあう社会をめざすもので、社会構造の変化や災害にも耐えうる社会の構築につながる。(2012.4)
関連用語
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