キーワード・用語解説

スフィア・スタンダード(sphere standard)

人道支援の現場において支援者が守るべき最低基準。冷戦終結後の1990年代、世界各地で内戦が頻発する中、国際機関やNGOが行う人道支援は、確かな役割を果たしたが、一方で、支援が軍事目的に転用されるなど、紛争の長期化・複雑化に与える悪影響も指摘された。
 この課題に取り組むため、国際赤十字等のNGOがプロジェクトを結成。人道支援の質を管理し、説明責任を果たす目的で、人道憲章と支援分野別の最低基準を定め、2000年にハンドブックとしてまとめた。
 現場で参照できる基準として、「避難所の給水:1人あたり1日15L、トイレの設置:50人あたり1ヵ所、男性用1に対し女性用3の割合」等が示されている。
 2011年の改定においては、新たに「プロテクション(保護)」の原則を追加した。これは支援の受益者側の権利が意識されるようになった国際潮流の反映である。受益者が意見を述べる権利、生活水準の確保、虐待の禁止等を保障すると共に、弱者・少数派が差別されない権利も明記している。
 これまでの人道支援では、効率性を重視するあまり、目に見える多数派を中心に考えがちで、社会的に弱い立場の人が支援からもれるおそれがあった。最も支援を必要としている人にいかに支援を届けるかという視点から、子ども、女性、高齢者、障がい者、難民、マイノリティ(言語、民族、宗教等で少数派に属する人々)は、とりわけ配慮されなければならないとしている。(2011.9)

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