被災者台帳
被災者の情報を一元的に記録・保存・管理する台帳。1995年阪神・淡路大震災において西宮市で開発された。台帳に登載された記録は、被災者支援のための情報システムの中で根幹をなすデータベースとなった。
災害が発生すると、建物損壊の程度を証明する罹災証明書が被災者に交付され、これがさまざまな救済措置の証書となる。この際、建物データと住民データの照合が必要となるが、通常の自治体では別個に管理されている場合が多い。2つのデータを統合するシステムの開発により作成されたのが被災者台帳である。これにより、だれがどのような被災状況にあるかが把握でき、証明書発行業務をスムーズに行える。また、仮設住宅入居や各種支援の申請・支給状況等も台帳に記録していくことで、被災者がいつ、どのような支援を受け、現在どういう状況にあるかという情報も一元的に管理できる。
東日本大震災においても、被災者台帳整備の必要性が指摘されている。事務の効率化だけでなく、遠隔地へ散り散りに避難した住民への取りこぼしのない支援、今後長く続く生活再建といった空間的・時間的課題に被災者台帳が機能していくことが期待されている。
一方では普段の何倍もの業務が発生し、不眠不休で働く被災地職員にとって台帳導入は新たな負担になりかねず、他の自治体からの応援強化が必要となる。平時から、西宮市が無償提供する汎用システムを活用するなどして、自治体が台帳を備えることも重要である。(2011.7)