相対的貧困率
貧困を表す社会指標の1つ。経済協力開発機構(以下OECD)では、「国民の年間所得を順に並べ、その中央値の50%に満たない所得水準の人々の人口比率」と定義する。
「生命にかかわるほどではなくても、平均的な生活水準との格差が大きく、社会から脱落する恐れのある所得層の割合」と理解されており、「現代の貧困」を表す指標として用いられることが多い。
対比される指標として、絶対的貧困率がある。「1日1ドル未満」で生活する人々の人口比率がその一例で、ミレニアム開発目標(MDGs)では2015年までに半減させると掲げている「極度の貧困」の指標として用いられている。
OECDの2008年報告書によれば、日本の相対的貧困率は14.9%と加盟国30ヵ国中ワースト4位だった。年齢別に見ると、子どもの貧困率は上昇、高齢層の貧困率は低下の傾向にある。ひとり親世帯では親の就業の有・無に関係なく60%近くが貧困に陥っている。これは他の国と異なる傾向で、有業のひとり親世帯の貧困率は加盟国中最下位だった。(2009.7)
背景には、ひとり親世帯のほとんどが母子家庭であり、子育てを担いながらの就業形態が不安定なものになりがちであることが影響していると考えられる。
日本の相対的貧困率は下記のように推移している。政府による公式発表は2009年時点の相対的貧困率から始まった。(2011.9追記)
2012年時点の相対的貧困率(16.1%)、子どもの貧困率(16.3%)はともに過去最悪を更新(OECD加盟国中最下位から4番目)したことを受け、2014年、政府は初めて「子どもの貧困対策大綱」を策定。貧困の世代間連鎖を断ち切るため、保護者に対する就労支援、奨学金の拡充、ひとり親家庭に対する支援など約40項目を重点政策として示した。(2014.10追記)
相対的貧困率は国民生活基礎調査(厚生労働省)を基にしている。2010年以降は、3年おきに実施する大規模調査年のみを基に集計。調査時点の前年1年間の数値を用いて算出し、翌年公表する。従って、政府が発表する相対的貧困率は2年前時点の数値となる。(2017.9追記)
相対的貧困率 | 子どもの貧困率 | |
2003年時点 | 14.9% | 13.7% |
2006年時点 (2009年政府発表) | 15.7% | 14.2% |
2009年時点 (2011年政府発表) | 16.0% | 15.7% |
2012年時点 (2014年政府発表) | 16.1% | 16.3% |
2015年時点 (2017年政府発表) | 15.6% | 13.9% |