キーワード・用語解説

性同一性障害者性別特例法

心と身体の性の不一致に苦しむ性同一性障害者に関しては、医療的対応に比べ、法的対応の遅れが指摘されていたが、家庭裁判所の審判で戸籍上の性別変更を認める「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」が、衆参両院で、全会一致で可決し成立した。法律は2003年7月に公布され、施行は2004年7月となる。また、施行3年以内に施行状況や社会的環境の変化を踏まえて見直しをされる予定である。この法律で性同一性障害者とは、専門的な知識がある2人以上の医師から性同一性障害と診断された人をいう。また、家庭裁判所で審判を受けるためには、1)20歳以上 2)結婚していない 3)子どもがいない 4)性別適合手術で生殖能力がない 5)身体に他の性別にかかる性器に近似する外観を備えている、等の条件を満たす人であることが必要である。これまでは、性別適合(性転換)手術を受け身体と心の性を一致させても、戸籍上の性別は変更できなかった。この法律で戸籍の性別表記の変更が認められると、住民票、健康保険証、年金手帳など、公的書類の性別記載をその人の外見と一致させることができるようになる。職業生活や学校生活での不都合や婚姻することの困難さなど、日常生活で差別的に扱われていることに対しての不安や不利益を改善するだけでなく、戸籍上の性別が自己の性認知と一致しないということ、そのものがもたらす直接的な心理的苦痛を解消することができるようになる。(2003.9)
 2008年改正により、家庭裁判所で審判を受けるための要件のうち「現に子がいないこと」が「現に未成年の子がいないこと」に改められた。(2010.3)

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