キーワード・用語解説

シェルター

暴力から逃れた女性のための緊急一時避難場所。被害女性に安全な場を保障し、回復のための援助プログラムを提供する。施設規模は、収容人数数名から数十名とさまざまで、訓練を受けた専従スタッフやボランティアによって運営されている。世界で最初のシェルターは、1971年設立のチズウィック女性救援所(ロンドン)で、その動きは急速に欧米に波及していった。アメリカでは、1974年にミネソタ州で開設されたのを皮切りに次々と広がり、現在千数百のシェルターがNPOによって運営されている。その大半が連邦、州、地方自治体からの補助金を受けている。日本では、1986年開設の「女性の家HELP」(東京:主にアジア女性を対象として活動)が、我が国最初の民間シェルターである。1993年にはDV被害者救援を明確な目的とするAKK女性シェルター(東京)ができ、それ以降、草の根の女性グループによる開設の動きが始まった。現在各々独自の形態で運営されているが、ほとんど個人の会費や寄付などを拠り所とする不安定な財政基盤である。1997年には全国的な連携で活動の促進を目指す、全国女性シェルター・ネットがスタートし、2005年に特定非営利活動法人の認証を受けた。1993年国連は、「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」を採択、2年後の第4回世界女性会議では「女性に対する暴力」が行動綱領の重大問題領域に加えられ、DVは世界的な課題となっている。我が国では、「DV防止法」が2001年10月より施行され、その中核施設として都道府県の婦人相談所を中心に配偶者暴力相談支援センターが設置され、被害者の相談・援助・保護に当たるよう定められた。同支援センターの保護機能を民間シェルターが担っている場合もあり、DV対策においても、シェルターの増設・充実は被害者支援への重要課題となっている。(2000.6)

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