キーワード・用語解説

グラス・シーリング(ガラスの天井)

グラス・シーリング(glass ceiling)は、ガラスの天井の意で、女性の能力開発を妨げ、企業における上級管理職への昇進や、労使団体等における意思決定の場への登用を阻害している見えない障壁(「男女共同参画2000年プラン」より)。グラス・シーリングの解消を図ることが職場における男女平等の参画を実現するうえで重大な課題となっている。我が国の女性管理職の比率は、係長11.1%、課長5.0%、部長3.1%(2009年厚生労働省調査)と低く、他の先進国と比べてもフィリピン57.8%、アメリカ42.5%、ドイツ・オーストリア37.3%、イギリス34.5%、に対し、日本は10.1%である(2005年ILO統計)。こうした昇進における男女格差の改善には、男女雇用機会均等法に期待がかかる。1999年4月施行の改正法で募集・採用、配置・昇進、教育訓練の差別については努力義務が“禁止”に、ポジティブ・アクション(積極的改善措置)に対して国の援助が可能になり、2007年4月施行の改正法では間接差別禁止の規定が入った。一方、現在上場企業の女性管理職の約半数が未婚者であることを考えると、職業生活と家庭生活の両立を目指してILO156号条約(正式名称:家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約)を実効あるものにしていくことも大きな課題となる。先行国のグラス・シーリング解消への取組では、「企業文化を変える」という明確な視点、また女性の「人的資源重視」は企業にもメリットであることを実証していく試みもされていて注目される。(1998.4,2010.9追記)

月刊『We learn』2017年4月号<学びのスイッチ>には、大沢真知子さん(日本女子大学現代女性キャリア研究所長)の解説を掲載しています。(ご購入はこちらから

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