キーワード・用語解説

児童扶養手当制度

児童扶養手当制度は、1961年に母子福祉年金の補完的制度として発足した。児童扶養手当法は、1962年に施行された。離婚や父との死別等による母子家庭などの生活の安定と自立の促進に寄与し児童の福祉の促進を図ることを目的に、公費で扶養手当が支給される制度である。対象は父親と生計を異にする18歳で高校卒までの児童で、所得制限を条件に、監護養育している母などに支給される。制度をめぐる環境の変化を受け、1997年12月、中央児童福祉審議会児童扶養手当部会は、制度のあり方についての報告をとりまとめた。財政構造改革が進められる中で毎年100億円程度の給付費増額への財源難からも、本報告に沿って制度が見直され、就労促進、福祉貸与などを含めた総合的自立支援制度として再編された。1998年には「結婚せずに出産した子が父の認知を得ると支給を打ち切る」という規定が廃止された。2007年現在、支給額は、第1子は41,720円から9,850円までの所得に応じた10円刻みの段階制となり、第2子に5,000円、第3子以上は3,000円が加算される。受給者は約99万人でその9割が生別母子家庭である。手当ての有期化、受給所得制限の切り下げ、父親の扶養義務の履行の促進、多子養育世帯への手当額、認知された未婚の母子への対応などが課題となっている。自己責任を求める規制緩和の波が母子福祉にも押し寄せているが、父親から養育費を受け取っているのは15%、母子世帯の平均年収は一般勤労者世帯の3分の1程度という厳しい経済状況に置かれており、弱者切捨てにならない制度のあり方が望まれる。(1998.2)
 児童扶養手当を父子家庭にも支給する改正法が、2010年施行された。父子家庭は、これまで稼得能力や平均収入の高さを理由に制度から排除されてきたが、雇用情勢の不安定化等で経済的に厳しい世帯が増えている状況に配慮し、支給対象が拡大された。(2010.9)

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