月刊 We learn バックナンバー

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2004年4月号(No.618)

  • ジェンダ−とエイズ予防教育/吉永陽子
  • 誌上アートギャラリィ:フォトエッセイ Jigsaw Puzzle 19/落合由利子
  • 事業レポ−ト:
    2003年度「女性の学習の歩み」研究セミナ−・報告
    2003年度「女性の学習の歩み」入選レポ−ト・抄録(1)
    「千代田区の男女共同参画実現をめざして」−婦人学級を起点として−/小谷文子
    2003年度「女性の学習の歩み」入選レポ−ト・抄録(2)
    「アジアからの女性たちに『オカアサン』と呼ばれて−私のエンパワ−メントの足跡−/佐藤サカエ
  • シネマ女性学:『上海家族』
    中国映画(96分)/ポン・シャオレン監督
    娘のまなざし揺ぎなく/松本侑壬子
  • 活動情報:精神障害を抱えた女性たちの活動グル−プ/折鶴の会藤原美妃子
  • Women's View:
    欲望の散らし方「ファッション・パフォ−マンス」/深町玲
    「女性の学習の歩み」研究セミナ−に参加して/田口香代子
  • 今どき学習ウォッチング:ゴム紐の自由
  • このひと:「メノポ−ズを考える会」代表/三羽良枝さん
  • きょうのキーワード:トラフィッキング
  • 資料情報:平成16年度文部科学省女性教育・家庭教育に関する予算のあらまし
  • なるほど!ジェンダー:「デ−トDV」恋の顔した暴力にご用心!!/イラスト:高橋由為子

巻頭言

ジェンダーとエイズ予防教育

吉永陽子(よしながようこ)

 エイズ予防にはHIV感染をしないことと、感染してもエイズを発病しないことの2つの意味がある。新薬の開発により早期発見早期治療が意味を成す時代になった。またHIV感染を繰り返し受けると病気の進行が早まることもわかっている。エイズ予防教育は感染の有無にかかわらず、すべての人に必要である。
 しかし、エイズ予防教育とは、感染をしていない人に対して正しい知識を啓発することだと思っている人が多い。そこにはしばしば、“不特定多数”や“売買春”といった言葉がエイズ神話として散りばめられている。かつて(今でも)“純潔教育”という大義名分が女性たちを分断させた。これはその巧妙なわなの延長にすぎない。“すべての人が感染のリスクをもっている”のが真実である。正しい知識は役に立つがそれだけでは予防は実践できない。すでに全世界では成人の約1%が感染しているが、発症したエイズ患者が増えている先進国は日本だけであり、東京都では毎日HIV感染の報告があるという。
 毎年医学部の後輩にエイズ予防教育の講義をしている。コンドーム装着をめぐる交渉をテーマとしたロールプレイ実習を行い、医学生に正しい知識だけでは感染予防ができないことを痛感してもらっている。「女性からコンドームをつけてとは言えない」「『好きならセックスしちゃえよ』という周囲のプレッシャーに勝てない」という学生がいる中で、講師である私は「女のくせに。セックスは男の俺に任せておけよ」「セックスしないなんて男らしくないわ」とジェンダー・バイアスの権化のようないじわるな役を演じる。皆たじたじとなってしまう状況は、残念ながらこの何年間変わらない。アサーション・トレーニングなしで「NO」と言うのは、実際簡単なことではない。 今、エイズ予防教育に求められるものは、ジェンダー・センシティブな視点である。

プロフィール
1960年静岡県清水市生まれ。医師・医学博士・精神保健指定医。川崎市の保健所勤務を経て1996年より医療法人社団碧水会長谷川病院勤務現職。青葉学園短期大学非常勤講師。「AIDS文化フォーラムIN横浜」運営委員。全国各地で講演活動。『AIDSの絵本』(アーニ出版)監修、『病をおこす心病を癒す心』(創芸出版)翻訳など。

いまどき学習ウォッチング

男性の地域ゴム紐の自由

 ある講座の自己紹介で、「PTA、諸々の地域活動と、自分では自由自在にやってきたつもりだったが、あるときそれは“ゴム紐の自由”だと気づいた」と言った人がいた。近場・遠方・四方八方へ行動範囲も広く、何の束縛も支障もなく行動していたつもりだったが、一方の端が家庭につながれたゴム紐みたいに、常に家庭への吸引力が働いていたと…。その状況が目に見えるようでおかしくて、うまいことを言うなあと、えらく感心した。彼女にそれを気づかせてくれたのは、国際婦人年からの性別役割分業に対する世界的な異議申し立ての動き。世界女性会議にも言ったという彼女は、きっとそれを肌で感じたのだろう。
 「留守の間の食事に不自由しないようにチンするだけできた」ではなく、大切なのは自分が抱え込んでいる家庭役割を流動化する関係を、夫や子どもとつくっていくこと(家族的責任のもち方の見直し)。自分が変われば家族も変わる。もちろん、摩擦は覚悟で家族に波風立てる勇気を!長い老後を考えても、きっとその方がオトクなはずだ。

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