月刊 We learn バックナンバー

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2001年4月号(No.582)

  • 巻頭言:女性2000年会議後のNGO活動の課題と展望/森屋裕子
  • 研究レポート:動脈系から静脈系へのパラダイム・シフト−実現のカギは女性が握る−/大橋照枝
  • 学習情報クリップぼ〜ど:21世紀のライフスタイルを考えるセミナー(和歌山県女性センター)
  • シネマ女性学:『ショコラ』
    アメリカ映画
    チョコレートで呼ぶ新しい風/松本侑壬子
  • 活動情報(1):女性団体による市民活動の再検討/前田由美子
    ―男女共同参画社会の本質を追及する活動をめざして
  • 活動情報(2):国際シンポジウム「安全な社会をめざして―女性への暴力防止・根絶を!!」報告/河田貞子
  • Women's View:
    女性学が与えてくれたもの/上村陽子
    女性センターの広報にかかわって/国枝亜佐美
  • このひと:小笠原悦子さん(ジュース〈JWS〉理事長)
  • きょうのキーワード:DV防止法案
  • 資料情報:平成13年度文部科学省女性教育・家庭教育に関する予算のあらまし/文部科学省

巻頭言

女性2000年会議後のNGO活動の課題と展望

森屋裕子(もりやゆうこ)

 男女共同参画社会基本法が成立し、女性2000年会議も終了した今、日本の男女平等に向けたNGO活動には、新たな展開が見られるように思える。
 その一つは、(いわゆる)「男女共同参画条例」に向けた動きを中心とする政策提言活動である。「条例市民案」を策定し、提言していこうという各地の動きは枚挙にいとまがない。専門性を大切にした、抗議型ではない提言型のこうした運動は、最近の「女性を議会へ」の運動と連動して進められているものが多い点が、特徴である。北京会議、女性2000年会議を経て、女性たちの動きは、社会システムを変革するための「政策」とその道筋をつける「政治」に本格的に向かいつつある。
 あとひとつは、急発展するIT機器を使った運動展開である。女性2000年会議の折に、世界各地の女性がインターネットを駆使して結集し、「NGOグローバルレポート」を作り上げていったことは記憶に新しい。私たちの身近な運動でも、国内外、地域内外の情報の収集と発信は、確実にインターネット中心になりつつある。仲間同士が同じ情報を瞬時に共有でき、意見を交換できる仕組みは、今や、横の関係を大切にするネットワーク型運動に欠かせないものになっている。
 女性と政治とIT…これらをもっと密接に、有機的に結びつけられないか…今、日本の各地で、同じようなことを考えている人たちはたくさんいるのではないだろうか。私の周りでも、いくつかの試みが進められている。私たちのエンパワーメントの方向を、こうした面にも向けていきたい。“政治”と“IT”を男性のものに止めておくのは、もったいなさすぎる。

プロフィール
1950年山梨県生まれ。英語専門学校講師の後、結婚を機に大阪へ。フェミニズムの活動をしながら、大学に再入学して法律を専攻。企画調査会社を経て、現在は政策コンサルティングの事務所であるスペース・フィフティ代表。2001年2月には、NPOフィフティ・ネット〜女性と政治・政策センター〜を設立し、代表理事となる。共著に『21世紀の女性政策と男女共同参画社会基本法』(ぎょうせい)

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