キーワード・用語解説

グリーン経済

環境保全と生活の豊かさを両立させる新たな仕組みをグリーン経済という。太陽光や風力といった自然エネルギーへの転換、森林再生などの環境領域の事業に雇用と収益を生み出す経済システムである。
 将来世代の可能性を損なわない節度ある開発を求める「持続可能な開発」を実現するために「グリーン経済」が「リオ+20」(国連持続可能な開発会議2012)で主要テーマとされたが、環境保全に前向きな先進国と、経済成長への規制を警戒する途上国の対立で、推進の行程表の合意は得られなかった。
 パーム油で例えると、途上国の森林を切り開いたヤシ農園で生産され、先進国で食品や洗剤の原料として大量に消費される。その結果、自然の恵みを持続可能な範囲で享受してきた先住民は、生活の基盤である森林を失った。農園などでの雇用は生まれたが、グローバルな低価格競争で労働条件は劣化し、開発は貧困削減に役立たない。
 グリーン経済は、こうした悪循環の打開策として注目されており、林業と農業を組み合わせた多品種栽培で土壌と森林を守り、長期にわたって収穫を得られる「アグロフォレストリー」などを提案する。消費する側からみれば、環境にやさしい商品を適正価格で購入することもグリーン経済に貢献することになる。
 子孫にどのような社会を手渡すかが問われる今、環境や人権に配慮した生産物を、公正なやり方で取り引きし、平等に富が行き渡る社会をつくる経済の循環システムが期待されている。(2012.8)

  • フリーワード検索
ENGLISH サイトマップ キーワード・用語解説