キーワード・用語解説

シビル・ソサエティ(civil society)

現代では、NGO・NPO、政策研究所、財団、組合等、民間の非営利組織が、平和・環境・人権といった公的領域で大きな役割を果たすようになっている。こうした民間組織が公共を担う社会をシビル・ソサエティと言う。
 冷戦終結と同時に民族紛争や環境問題が表面化する中、政府による統制が難しくなっていった。これに対し非営利組織は柔軟な機動力や国境を越えたネットワークで課題解決の成果を上げ、政府・企業と並ぶ第3の勢力として認められるようになった。
 特徴は、現場での実践活動にある。例えば、日々の燃料と水を求める途上国の女性の声に応えて植林に取り組んだケニアのグリーンベルト運動は、育苗による所得を保証することで女性のエンパワーメントにつながった。このNGOを創設したワンガリ・マータイ女史はノーベル平和賞を受賞している(2004年)。
 もう1つの特徴は、アドボカシー(政策提言など)活動である。例えば、国際人口開発会議(1994年)に向けた大規模なキャンペーンによって、妊娠・出産を女性が自己決定する権利「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の考え方を世界に広げていった。近年では「災害対策にジェンダーの視点を」という提言が注目されている。
 日本国内では阪神淡路大震災(1995年)が市民活動の起点であった。NPO法成立で(1998年)市民組織の数は増えたが、シビル・ソサエティの定着にはまだほど遠い。東日本大震災の復興過程の中で、防災と復興の当事者はあくまでも市民であるという認識の共有が問われている。(2012.7)

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