キーワード・用語解説

BOP(Base of the Pyramid)

世界人口に占める低所得層を表す。年間所得別に階層分けをすると、ごく一部の高所得層、約3分の1の中所得層、約3分の2の低所得層というピラミッド構成となる。BOPはこの低所得層、40億~50億人を指す。
 BOPは社会基盤、市場、流通が未発達な途上国や農村部に多く、モノ、情報、安全な水、医療の確保に苦労し、選択肢もないまま低品質で割高な商品を購入する日常を余儀なくされている。こうした不利益を、地域固有のニーズに合った手法で解消すれば、BOPは単なる援助対象ではなく、購買力をもった顧客となりうる。この観点から2000年ごろより、欧米企業がNGO等と連携し、収益と社会課題解決の両立をめざした「BOPビジネス」に着手した。
 低所得層が買いやすい小袋詰め洗剤や食品の販売、電話線のない地域への携帯電話貸与サービスなどの事業で市場を開拓していった。注目されるのは現地の女性を育成し、商品の仕入れから販売までを委託するビジネス方式だ。女性販売員が地域の隅々まで訪問し、商品を普及させると同時に、衛生・栄養・商品知識の啓発を行なっていった。これは現地に女性の雇用を生み出し、女性の自立支援、生活習慣改善、貧困脱出につながる好循環をもたらしており、日本企業が40年以上前から途上国で取り組んできた手法でもある。
 マラリア予防の蚊帳や水質浄化剤提供等、日本企業の実績も近年増えている。経済産業省は研究会を発足させ(2009年)、ビジネスモデルとして支援している。(2012.1)

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