キーワード・用語解説

国際成人力調査(PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies)

OECD(経済協力開発機構)による、成人を対象とした国際比較調査。16歳~65歳を対象に26カ国で実施される。
 OECDは人的資源の開発という観点から教育分野に力を注いできた。2000年から15歳を対象に生徒の学習到達度調査(PISA)を実施し、学校教育改善の指標を提供。一方で成人も生涯学習や企業内訓練を通して生涯にわたり生活・労働に必要な能力を獲得していく必要を提唱し、「成人力」を測定する調査に乗り出した。
 「成人力」とは単なる知識・技術の量ではなく、課題を見つけ考える力、知識・情報を活用して課題解決する力など、実社会を生きる上で必要とされる総合力をいう。
 日本では対象者を住民基本台帳から無作為に抽出、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野について、どの程度の力を有しているかを調査。同時にその力の形成に影響を及ぼす要因を検証するため、学歴、職歴等、本人の「属性調査」も行う。
 対象者には依頼状が郵送され、調査日時を調整したうえで調査員が訪問し、1対1で調査を行う。調査員が持参したパソコンに回答を入力する方式で行うが、パソコンが苦手な人は筆記での回答も可能。
 2011年8月から2012年1月実施、2013年結果公表予定。政策等に幅広く活用されることが期待される。(2011.10)

 OECDは2013年10月、国際成人力調査(加盟国を中心とした24ヵ国・地域の16~65歳、約15万7千人、2011~2012年調査)の結果を公表した。日本は調査3分野のうち読解力と数的思考力の2分野でOECD平均を大きく上回って1位。また、上位層と下位層の差が参加国の中で最も小さく、OECD全体の傾向とは異なって同学歴での性別による差は見られなかった。義務教育就学率がほぼ100%で識字率が高く、学校卒業後も企業内研修や生涯学習の場で学習が継続されてきた成果ではないかと分析されている。
 しかし、PISA(国際学習到達度調査、15歳対象、2000年以降3年毎実施)によれば、日本の子どもの学力は低下傾向にあり、加えて、学業を諦めざるを得ないような貧困、企業内教育など期待できない労働環境の劣化等々問題を抱える日本が、将来も「人材が資源」と言えるかどうかは不透明である。(2013.10追記)

  • アルファベット検索
  • フリーワード検索
ENGLISH サイトマップ キーワード・用語解説