ナショナルミニマム
国家が国民に補償する最低限の生活水準のこと。
日本のナショナルミニマムは憲法第25条で「健康で文化的な最低限度の生活」と規定されている。保障の仕組みは、社会保険と生活保護を主な2本柱とする社会保障制度を中心に構築されてきた。
近年、ナショナルミニマムと社会保障制度の見直しが議論されている。背景には、少子高齢化と1990年代以降の非正規雇用拡大がある。世代間の助けあいを基本とし、終身雇用と性別分業が前提の勤労世帯をモデルとして設計された現行制度は、経済・社会構造が変動する中、信頼感が揺らいでいる。同時に、年収が200万円以下と生活保護レベルを下回る労働者(ワーキングプア)が、2006年以降1,000万人を超える(国税庁調べ)など、社会問題化した貧困・格差への対応も求められている。
こうした状況を受け、厚生労働省は2009年日本の相対的貧困率を15.7%(2006年時点)と初めて公式に発表し、ナショナルミニマム研究会を発足させた(2009.12)。母子家庭の生活保護基準のあり方や、子どもの貧困、人間関係・社会参加を困難にする「社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)」への目配りなど、幅広い観点から議論し、中間報告(2010.6)では、時代に合った社会保障システム再構築のための根幹となる指標づくりの重要性を指摘している。(2010.8)
関連用語
児童扶養手当制度
将来人口推計
社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)
生活困窮者自立支援法
子どもの貧困対策推進法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)
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