キーワード・用語解説

アンドラゴジー

成人の学習を支援する技術と科学。ギリシャ語のaner(成人)とagogus(指導)の合成語。成人教育研究者マルカム・ノールズ(米)が提唱(1968年)したこのアンドラゴジーは、何をどのように学習するか、その成果の評価はどうか、などを学習者が自己決定し、教師は学習者が学習をスムーズに展開できるように援助する。ペダゴジーが未熟な子どもを訓練し、知識や技術を与えて社会の有用な一員にするという教育学であるのとは対照的なもので、前提として成人学習者の特徴を以下のように仮定する──1)人間が成熟するにつれて、自己概念は依存的パーソナリティから自己管理的パーソナリティへ移行する。 2)経験が蓄積され、それが学習のための資源の増大を意味する。 3)学習へのレディネス(準備状態)は、生物学的発達や社会的圧力よりも社会的役割に関する発達課題に基づくようになる。 4)時間的展開において、知識は将来に役立てるものではなく、すぐ使う応用の即時性を求める。そのために学習は教科中心から課題達成中心的なものへ移行する。 5)学習への動機づけは、外部から与えられる要因よりも内発的要因のほうがより重要となる──。アンドラゴジーは、個人の経験を尊重する学習が推奨された急激な変化の時代(1960年代)の学習理論である。歴史的・社会的・実存的文脈の中で成人学習者が生活している側面をとらえていないなどの批判もあるが、例えば、成人女性の学習では、学習を自己決定的に進めるための基礎的理論となっている。(2006.9)

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