キーワード・用語解説

夫在宅ストレス症候群

夫が定年を機に常に家にいるようになったことで、妻が強いストレスを感じ、心身の不調を訴えるケースが増えている。症状は、高血圧や胃潰瘍、十二指腸潰瘍をはじめとしてさまざまである。このような症状を「夫在宅ストレス症候群」と呼んでいる。症状を訴える妻たちは「退職して家にいるのに家事など何もしない」「あれこれ指示されることが多い」「細かいことまで干渉する」など、日常生活でかなり強い束縛を感じている。性別役割分業をひきずったまま定年生活に入り、妻の気持を思いはかることのできない夫、自分の気持を伝えることができない妻という関係が典型的なものである。ちなみに「一緒にいてほっとする相手」(「家庭と社会に関する意識と実態調査」経済企画庁,1994年)に配偶者をあげる比率は、高齢になるほど男女の差は顕著で、60代では30%近くも開きがある(男性87%,女性61%)。このことからも意思の疎通をはかり、互いの価値観を尊重し思いやる関係を築いていくことが何よりも欠かせない。症状に対する治療は、カウンセリングと抗うつ薬などの処方、その他自律訓練法などがある。同時に、夫もカウンセリングを受けることが望ましいとされるが、協力的な夫はそれほど多くない。超高齢時代、平均約18年と言われている定年後の夫婦生活を充実したものにしていくために、新しい男女のあり方をつくり出していくことが、今求められている。(2003.2)

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