キーワード・用語解説

成年後見制度

「成年後見制度」は、認知症高齢者、知的障害者など判断能力が不十分な成人の財産・権利を保護するための制度。自己決定権の尊重・身上保護の重視・ノーマライゼーションを基本理念に、現行民法の禁治産・準禁治産制度を抜本的に改正したもので、施行は2000年4月。新制度では、現行の禁治産を「後見」(常に判断能力を欠く)、準禁治産を「保佐」(判断能力が不十分)とし、さらに「補助」(軽度の痴呆や知的障害)を新設し、保護できる範囲を拡大した。家庭裁判所への申し立てにより、それぞれ「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選任され、同じく後見する人を監督する「監督人」も選任される。またこうした「法廷後見」に加えて、判断能力が低下する前に自分で後見人を選任できる「任意後見」も新設された。法廷・任意どちらの後見人も、財産管理だけでなく生活・医療・福祉など身上に配慮する義務がある。従来の戸籍記載を廃止し、新しい登記制度も導入。同時施行の介護保険制度との関連では、介護契約において高齢者が不利益を受けないようにこの制度が重要な役割を果たすことになる。ただ、費用が利用者負担であることや後見人の人材育成についての具体的対策が立てられていないなど課題も多く、すべての対象者が自立して生活できるよう支援体制が求められている。(1999.12)

 被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないとする公職選挙法規定について、2011年、選挙権の回復を求める裁判が各地で起こされた。2013年3月、東京地方裁判所は、この規定を違憲・無効と判断。それによって同年5月、改正公職選挙法および改正国民投票法が成立(同年6月30日施行)、成年被後見人の選挙権および被選挙権、国民投票の投票権が認められた。また、特定候補者に誘導する等不正投票防止策も盛り込まれている。改正公選法は同年7月の参議院議員選挙から適用された。(2013.8)

  • フリーワード検索
ENGLISH サイトマップ キーワード・用語解説