キーワード・用語解説

女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)

従軍慰安婦問題について政府は調査を行い、1993年8月に「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」を発表した。同談話で、慰安所が当時の軍当局の要請により設置され、その管理及び慰安婦の移送に軍が関与したこと、軍の要請を受けた業者が甘言、強圧により本人の意思に反して募集した事例が多いこと等が明らかにされた。戦後50年を迎えた1995年7月、村山内閣の下、道義的立場から戦争責任を果たすため、幅広い国民参加の道を求め、「基金は政府と国民の協力で」をスローガンに「アジア女性基金」を設立した。基金では「償い事業」として、1)国としての率直な反省とお詫びの気持の表明として「総理の手紙」を被害者に渡す 2)国民的な償いとして国民募金から償い金(1人あたり200万円)を支給する 3)基金を通して政府資金による被害者への医療福祉支援事業(韓国・台湾・オランダ:1人当たり300万円、フィリピン:同120万円)を行う、を実施する。この構想に対しては「国が行うべき保障を民間に肩代わりさせるといった、筋を違えた方式」との強い批判があり、国家補償を求める運動もある。(1995.8)

全ての償い事業の終了を機に、2007年3月末日、アジア女性基金は解散した。この間の国内外からの募金総額5億6500万円。フィリピン、韓国、台湾の285人に償い金と医療・福祉支援事業、またオランダの79人には医療福祉支援事業が行われた。慰安婦と認定されても基金事業を拒んだ方々、個人への「償い事業」のなされなかった国、事業の及ばなかった国等、残された課題も多い。(2007.4追記)

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