キーワード・用語解説

高齢者虐待

高齢者の保護施設や電話相談の現場から、家族の中で放棄され孤立し暴力を受ける高齢者の問題が浮上し、「高齢者虐待」が新たな社会問題となっている。さまざまな価値観や家族間における世代間ギャップが背景にあり、立場の弱い高齢者に家族員のストレスが向かうとも考えられる。さらに、血のつながりや家族のしがらみといった問題を抱えているだけに表面化しにくいことが、問題を深刻化させている。高齢化の進む今後は介護の問題とも絡んでますます増えると予想され、虐待防止への取組の必要性が指摘されている。こうした中、日本労働組合連合会が1994年に実施した「要介護者を抱える家族」についての実態調査から、在宅介護の介護者が介護する高齢者に抱く“憎しみ”の感情や虐待行為の有無が明らかになった。調査結果によると、3人に1人以上が“憎しみ”をいつも感じるかときどき感じており、義理の娘、妻、娘の順でその率が高く、「高齢者虐待」への女性問題の視点は欠かせない。また、オムツの交換や食事などの世話の放棄、暴力、暴言などの虐待は全くないとするのは半数弱に過ぎず、これは介護する立場の違いを超えて共通する傾向で、社会的な支援策の必要性を示唆している。

 また最近、特別養護老人ホームや老人保健施設等における利用者への不適切処置や虐待の実態も、調査等によって徐々に明らかにされてきている。こうした状況を踏まえ、2005年11月に「高齢者虐待防止法」が成立、2006年4月に施行された。(2006.4追記)

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